猫屋敷+

TRPGサークル グループねこぢゃらしの活動記録

小話:ドナドナ 【イチゾロ戦隊ゾロッター】 …天崎李玖



ある晴れた、昼下がり。
市場に続く道。
道ばたで、『それ』と目があった。

カナシイヒトミデ、ミテイルヨ…



「ふんふんふ~ん」
この炎天下。
全身黒ずくめの男はことのほか、ご機嫌だった。
今日も、いい天気だなぁ。




K亭の庭。
とてつもなく大きなたらいが芝生におかれ。
水を満たしたそれにはアヒルやらなにやらがぷかぷかと浮いていた。
泳げる程の大きさではないが、縁につかまったアクリィが軽くバタ足をするくらいは広かった。

「あっっっついよぉ!」
ばしゃばしゃ。
水滴が刺さるような光をはじいてところどころで虹を作った。

「まあ暑いが…だからこうやって涼んでるんだろうが」
涼しそうな顔をしているレオだったが、膝から下はしっかりたらいの中だったりする。

「レオも入れば?」
「水が半分になりそうだから、いい」
「確かにね」

くすくすと笑いながら、すぐそばで、串に刺した肉やら野菜やらを汗だくで焼いているハーフエルフに目をやる。
「…やっぱり、あれ、暑苦しくない?」
「…とかいいながら、焼けたら食うんだろ?」
「ぴんぽ~んっ!」
「しかし、本当にオザック暑くないのか?」
「うん?」
バイキングキャップからねじりはちまきにマイナーチェンジしたオザックが、さわやかに…そう、なんだか嫌になるくらいさわやかな笑顔で答える。
「何を言う!猛暑のバーベキュー!!これこそ醍醐味じゃっっっ!!光る汗!それが最高のスパイス!」
「…よくわからんが、本当にスパイスにするなよ。食えなくなるから」
「任せておけぃ!料理も闘いじゃ!」
「…オザック、暑さでやられちゃったんじゃ…」
小さなじょうろでレオに頭から水をかけられながら、眉をしかめるアクリィだった。

「おーい!3人とも~」
レッドとユーリがなにやら抱えて現れた。

「暑いだろ?メイドさんたち特製のかき氷と…」
「Kさんがくれたスイカでーすっ。よく冷えてますよっ!」
「やったぁ!レッド、あたしイチゴ味っ」
「私は抹茶がいいな」
「ワシ、カレー」
「「「あるかっっっ!!!」」」
「冗談じゃ。メロン味くれ」
「「「……。」」」


夏、である。

真っ白で大きな雲。
抜けるような青空。洗い立てのシーツを広げたような。

「んー、ごちそうさまっ」
「アクリィ、スイカ切ろうか?」
「食べる食べる~!」
「ちんちくりん、舌、真っ赤だぞ」
「はうっ」
「ワシの舌も緑じゃ」
「私の舌はふかみどり」
「レオさん、一番不気味です」
「ミステリアス、と言ってくれ。…ところでパピヨンは?」
「そういえば、見かけないなぁ?パピヨンの分のスイカ、とっておいた方がいいよな?」
「冷えてるうちに戻ってこないですかね…ってパピヨンさん!」

声をききつけたか、裏門から庭へとやってくる黒い影。
なにやら大きな箱のようなものをもっていた。

「よう!なにやってんだ、お前ら?」
「なんというか、今日は出動もないし、涼んでるよ。パピヨンはどうたんだ?」
「うん?や、暑いからさ。ちょいと涼しいモンでもないか、市場の方、ひやかしてた」
「スイカ食うか?」
「おう。…と」

大きな箱を、さほど重そうでもなく傍らに置き、スイカに手を伸ばす。

「パピヨン、それなぁに?」

ふふん。
スイカの種を頬につけ、パピヨンが不敵な笑みを浮かべた。

「市場で買ったんだ。すっげぇぞ」
「…なんですか?」

のぞき込んだユーリの顔が。

「ぱぴよんさん…」

真夏にふさわしくなく。

凍り付いた。

「どうした、ユーリ…!?…こ、これはっっ!!」
「レオどしたの…あっっ!!」
「アクリィ?…うっ?!」
そして、串から手を離したオザックが。
「なんじゃこりゃああああああああああああ!!」

もきゅ。

もこ。


「「「「グリズリー…?!」」」」


生まれて間もないくらいだろうか。
人間の赤ん坊くらいの大きさの、もっさりとした小熊が。

4匹。

しかも。

「ピンク、黄色、青…こ、これ…」
呆然とつぶやくアクリィの声を塗りつぶすような、さわやかなパピヨンの笑顔。

「すげぇだろ?!俺もこんな色のグリズリー、初めて見た。新種だな!」

「いや、それは色を…」
レオの声は迫力に負け、尻つぼみになって消えていく。

「それ、市場で買ったのかい?」
心なしかレッドの笑みがひきつっていた。

もきゅもきゅ。

パピヨンの手にかわいらしくじゃれるグリズリー。
彼の手から血がふいている様な気がするのは…多分気のせいだろう。

「ははははっ。かわいい奴らだなぁ。じゃれるなよ」

多分、気のせいだろう。

「ピンクの奴が特にやんちゃでさぁ。がぶがぶ噛んできやがるんだ。すげぇ、かわいいよな」
「……」
「それ、どうするんじゃ?」
「飼って増やすにきまってるだろ?頑張ってねぎったんだ。…これはほりだしものだな」
「増やすのか…」
「増やすのね…」
「増やすんですか…」

気まぐれな夏の白雲。
心なしかかげってきたような。

「大丈夫だって、お前らにも利益はまわすからよ」
「…そんな心配はしていない」

ぼそ。
「ってか、だまされてるわよ。レッド、教えてあげなさいよ」
「…ごめん。俺にはっっ、そんな勇気はない…っ」
ぼそぼそ。
「レオ、あなた友達でしょう?!」
「ちんちくりん…そんな残酷な事を私に言えというのか…?!」
「ああっ、パピヨンさんっ、だまされてます~。屋台のひよこよりタチ悪いです~」
「しかし、何で市場でグリズリー売っとったんじゃろうのう…」
「売ってても普通かわんだろ…あ、オザック、そのタマネギとトウモロコシの串くれ」
「あたし、お肉」
「二人とも現実逃避かい…俺も、ニンジンのやつ…」
レッドが悪魔(?)魂をうったその時。
空はますますかげりをみせて。

上機嫌にカラフルグリズリーと戯れるパピヨン。
黙々とバーベキュー串を手にする5人。

そして。


ぽつ。
ぽつん。
ぽつん、ぽつん、ぽつん。

「あ、雨…」
伸ばしたアクリィの手のひらに、ぽつぽつとまばらに、すぐにリズミカルに粒が落ちてくる。

「おっ。これで少しは涼しくなるなっ」

串を元に戻したレオが憂鬱につぶやいた。
「パピヨン…それ」
「うん?どうした?…?」

もきゅもきゅ。
グリズリー達は久しぶりの雨を喜ぶかのように、無邪気に手を動かす。
ほほえましく眺めていた、パピヨンの顔に疑問の色が浮かんだ。
「うん?…なんだか…」
草むらに水たまり。
雨の中、誰も屋敷に入らず、何とも言えない笑みを凍り付かせたまま、それを見守った。

沢山の水たまり。
その中に。
桃色。
黄色。
青。
色とりどりの水たまり。

レッドはきつく唇をかみしめた。
リーダーとは因果な役割だ。
他人が言いにくい事でも、あえて言わなくてはいけないときもある。
ああ、ファリス。
これが俺にかされた試練なのですか?!←多分違うから。

「パピヨン…」
「レッド!!」
「いいんだ、アクリィ。俺が…言うさ」
ふっ。と。
レッドの笑みを映すアクリィの瞳が涙に揺れた。
「レッド、ひどいっ。ひどすぎるわっ!!あたし、もう、耐えられないっ」
「レッドさん…」
「レッド、お前が言うくらいなら、私がっ!」
「大丈夫だ、レオ。これは俺の仕事だよ」
「…ワシでは…何もしてやれんからのう…」
「パピヨン…」
「レッド?」
「パピヨン…それは…それは…っっ」

ばしゃっ。
レッドの拳が血がにじむほど、握りしめられ。
絞り出すように、言った。

「それは…ただの、グリズリーだっっ…」
「なっ…」

もぎゅもぎゅ。
あどけないグリズリー達は雨に洗われ、その真の姿をあらわにする。

パピヨンの体が力なく、崩れ落ちる。
「それじゃ…俺は…」

「…だまされたんだろ。市場の親父に」

レオさん、身も蓋もありません。

「それ、どうするの?パピヨン、自分でなんとかしてね?」
「ワシでは…何もしてやれんからのう…」
それしか言えないのか、あんたは。
「パピヨンさん…。考え浅すぎます…っ」
ユーリの一言がずん、と背中にのしかかる。
そして。
「パピヨン…頑張れよ…」
レッドの友情スマイルが、パピヨンの目には痛かった。






そのご。

どごおおおおおっ。
「いてぇっっっ?!お前らっ、うりさばくぞっっ!!」
どがああああああっっ。
「うごごおおおおおおおおおおっっ」

「あれ、懐いてるのかなぁ?」
「うん。しつけはできてるみたいだよ。トイレもご飯も完璧らしい」
「まあ、あれだな。人を襲ってはいけないということは学習できないみたいだな」
「それが一番まずいんじゃないかのう…」
「僕、パピヨンさんの部屋で眠れません…」


グリズリー達が森に帰る頃にはパピヨンのファイターレベルがあがったとか、あがらないとか。




ネ…ネタモノです…。いや、グ●ーミー好きなんですよ。
ギャグ苦手なんです。本当、申し訳ない…



作:天崎李玖


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