猫屋敷+

小話:ある日のこと 【イチゾロ戦隊ゾロッター】 …天崎李玖

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 KAMADA屋のたぬきそばを豪快にすすり上げると、パピヨンは情けないため息をついた。「金がねぇ」「…貴様、食べ物屋でそれはないだろう」「いや、そば代くらいはあるんだけどさ。今、じゃぺーん亭が改修工事してるだろ?だから休み。バイト代入んねーんだよ」「そういえば、そんなこと言ってたな。…てことは私も歌いにいけないと言うことか」 きつねうどんのあげを飲み込み、ううん、と考え込む。 カウンターから親父が顔...

小話:おもいだせない【イチゾロ戦隊ゾロッター】 …天崎李玖

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!! Caution !!※本編6話終了後・ネタバレを含みます※「飽きちゃったとはいえ…」香辛料を片づけるのを手伝いながら、アクリィがぼそり、とつぶやいた。「こうやって夜営しながらだと…カレー食べるの、楽しいのよねぇ」にっこりと笑ったオザックが、手際よく余った材料を片づけていく。「カレーは人を幸せにするんじゃよ」「んー。それってオザックがそう思って作るからだろ?」「パピヨン?」「オザックが、『カレーを食べれば幸せ...

小話:ドナドナ 【イチゾロ戦隊ゾロッター】 …天崎李玖

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ある晴れた、昼下がり。市場に続く道。道ばたで、『それ』と目があった。カナシイヒトミデ、ミテイルヨ…「ふんふんふ~ん」この炎天下。全身黒ずくめの男はことのほか、ご機嫌だった。今日も、いい天気だなぁ。K亭の庭。とてつもなく大きなたらいが芝生におかれ。水を満たしたそれにはアヒルやらなにやらがぷかぷかと浮いていた。泳げる程の大きさではないが、縁につかまったアクリィが軽くバタ足をするくらいは広かった。「あっ...

小話:変り種【イチゾロ戦隊ゾロッター】 …天崎李玖

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何を言われたって。なんと言われたって。それが自分らしいから。胸をはって。空を見上げて。前に進もう。とても、とても、昔の夢を見た。薄暗い、でも優しい土の匂いに満ちた、故郷。「やぁい、オザックのばぁか!」「こんなもんも作れないのかよ。お前なんもできないのなー」「俺の弟だって、これくら持てるぞ。すげぇひ弱!女より弱いじゃん」はやし立てる子ども達より、ずっと細くて白い手が、ぎゅっ、と握られ。何か言いたいの...