猫屋敷+

小話:ドナドナ 【イチゾロ戦隊ゾロッター】 …おじゃっく

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 バタバタという騒々しい足音とともに己の部屋へと現れた客人に、レオノールは右の眉をわずかに上げた。誰かが勢いよく駆け込んでくることに驚いたのではない。そのような訪れ方をしそうにない人物であったからである。 ラグの上にゆったりと座りながら動じることなく楽器の手入れをしていたレオノールにむかって、上気した頬、荒い息を整える暇さえ惜しんでその青年は哀願した。「頼むっ、かくまってくれっ」「それはかまわんが...

小話:初春 Adonis 【イチゾロ戦隊ゾロッター】 …おじゃっく

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!! Caution !!※本編エンディング後の内容を含みます※ふいに、分厚い樫の鎧戸が身を震わせて静寂を破った。読んでいた本から目をあげ、閉ざされたままのそれを見やる。窓の外ではまだ重く湿った雪が降り続いているのだろうが、何十年も風雪に耐えてきた雨戸越しでは外の様子はうかがうことはできなかった。この地方では、毎年春が間近に迫った時期に名残を惜しむかのように吹雪が訪れるということを聞いたのは、旅の足留めを余儀な...

小話:春カレー【イチゾロ戦隊ゾロッター】 …KAZ-屋

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!! Caution !!※本編エンディング後の内容を含みます※ほほを掠める風に、昨日には感じなかった暖かさを感じてぱぴよんは目を細めた。一つ二つと、桃色の花びらが目の前を散ってゆく。「ああ、もうそんな時期か」誰に聞かせるともなく一人ごちて、ふと苦笑した。最近どうも独り言が多い気がする。「年かなぁ」そんな思いまでもが独り言として口からこぼれ、己の失笑を買う。既に冒険者としては古参の域に入った頃から、一人旅をする...

小話:変り種【イチゾロ戦隊ゾロッター】 …天崎李玖

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何を言われたって。なんと言われたって。それが自分らしいから。胸をはって。空を見上げて。前に進もう。とても、とても、昔の夢を見た。薄暗い、でも優しい土の匂いに満ちた、故郷。「やぁい、オザックのばぁか!」「こんなもんも作れないのかよ。お前なんもできないのなー」「俺の弟だって、これくら持てるぞ。すげぇひ弱!女より弱いじゃん」はやし立てる子ども達より、ずっと細くて白い手が、ぎゅっ、と握られ。何か言いたいの...

小話:ドナドナ 【イチゾロ戦隊ゾロッター】 …天崎李玖

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ある晴れた、昼下がり。市場に続く道。道ばたで、『それ』と目があった。カナシイヒトミデ、ミテイルヨ…「ふんふんふ~ん」この炎天下。全身黒ずくめの男はことのほか、ご機嫌だった。今日も、いい天気だなぁ。K亭の庭。とてつもなく大きなたらいが芝生におかれ。水を満たしたそれにはアヒルやらなにやらがぷかぷかと浮いていた。泳げる程の大きさではないが、縁につかまったアクリィが軽くバタ足をするくらいは広かった。「あっ...